糖尿病

厚生労働省の調査結果によれば、糖尿病が強く疑われる日本人人口は950万人糖尿病の可能性を否定できない糖尿病予備軍は1,100万人にも上ると言われています。

また、スウェーデンで32年間に及び行われた「生活習慣による死亡リスクの調査」によれば、糖尿病にかかっている場合、死亡のリスクが健常な人の「1.64倍」になることがわかっています。これは、喫煙に次ぐ第2位であり、仮に喫煙もしているとなるとその死亡リスクは「3倍以上」にもなるのです。

こんなにたくさんの人達が持っているかもしれない病気「糖尿病」。

一般的に生活習慣病と一緒に語られることが多いですよね。

ではその実態はどんな病気なのでしょうか。

糖尿病の今

厚生労働省が行った「平成25年国民健康・栄養調査」によると、成人(20歳以上)のうち糖尿病が強く疑われる人は約950万人糖尿病の可能性が否定できない人は約1,100万人に上ると推定されています。なお、糖尿病が強く疑われる人の割合を性別・年齢別でみてみると、男性は40歳以上の人、女性は50歳以上の人、つまり中年層以上の人にその割合が多いことがわかります。

但し、これはあくまで割合です。

糖尿病は中高年だけの病気だと思っていませんか?

けれども実は現代では、20代あるいは10代の人でも糖尿病にかかる人が増加する傾向にあるのです。年配の人がかる病気だからといって安心してはいられません。

糖尿病は主に「1型糖尿病」「2型糖尿病」に分かれますが、日本人の糖尿病患者は「2型糖尿病」が大半で、これは「ストレス」「肥満」「運動不足」「暴飲暴食」などのライフスタイルの乱れが主な原因となって起こります。

現代病ともいえる病気なのです。

「性別」「年齢別」に見る糖尿病の割合と種類 「糖尿病が疑われる人」の「年齢別」割合

世界的に見た糖尿病の今

国際糖尿病連合(IDF)によると、2014年の世界の糖尿病患者数は3億8,666万人。インド・中国を筆頭に、特に日本を含む西太平洋地域は最も多くなっています。そして2035年には世界の糖尿病患者数はなんと6億万人と予測されています。世界的に糖尿病が増加している原因として、高齢化都市化による食生活の変化運動量の減少が挙げられ、やはり現代社会に向けたライフスタイルが変化が原因といえるようです。

「各国」の「糖尿病人口」の割合

糖尿病はどんな病気か

糖尿病とは、高血糖」の状態が慢性的に続く病気のことです。

「高血糖」とは血液中にブドウ糖が増えすぎた状態のことで、糖質を食物などで取り過ぎると起こります。現代の食生活では糖質を摂る機会が大変多いですね。この「高血糖」を解消する働きをするホルモンがすい臓の作り出す「インスリン」です。「インスリン」は血糖値を下げる役目を果たします。つまり「インスリン」が不足したり働きが悪くなることで、「高血糖」の状態が起こるのですね。

健康な方の場合、血糖値は食前の空腹時で80~110mg/dlくらいです。食事を摂り、胃腸で食べ物を消化吸収し、ブドウ糖が血液中に入ってくると自然と血糖値が高くなります。上限は140mg/dlくらいでしょうか。血糖値がこれよりも高い状態を「高血糖」といいます。そしてその「高血糖」が続いている状態が「糖尿病」です。

「糖質=ブドウ糖等」を身体に取り入れることで血糖値が上がりますが、健康な方の場合、すい臓からインスリンが分泌され、細胞にブドウ糖を取り込むことでエネルギーとして利用され、血糖値が下がります。糖尿病の方はこの機能がうまく作用しないので、ブドウ糖をエネルギーに変えることが出来ず、身体に溜め込むことになります。

「インスリンの働き」の仕組み

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、日本では男性では約6人に1人、女性では約11人に1人が2型糖尿病にかかっている疑いがあります。

<1型糖尿病>

1型糖尿病(インスリン依存型)は自己免疫疾患などが原因で発症します。インスリン分泌細胞が破壊されインスリンの産生が欠如してしまうため、発症すると継続的にインスリンの自己注射が必要となります。

 <2型糖尿病>

2型糖尿病(インスリン非依存型)は、遺伝的要因や過食・運動不足などの乱れた生活習慣など様々な要因が原因で発症します。発症初期の場合、生活習慣の改善等で軽快することもありますが、悪化するにつれ内服やインスリン自己注射の治療が必要となります。

しかし、日常から生活習慣に気をつければ、十分に予防できる病気です。

メタボリック症候群と糖尿病予備軍の関係

「インスリン」の作用が不足するのには、「インスリン」の分泌量が減ること、「インスリン」に対する細胞の感受性が悪くなることという、二つの理由があります。細胞の感受性が悪くなることを「インスリン抵抗性」と医学的に表現します。その「インスリン抵抗性」を招く原因が「メタボリック症候群」です。

そう考えていくと、糖尿病予備軍とメタボリック症候群はとても親密な関係にあるといえます。「インスリン抵抗性」が主要な原因で糖尿病を発病した場合、「メタボリック症候群を放置していて糖尿病を発病した」と言い換えることも出来るくらいです。

「メタボリック症候群」は会社等で行われる毎年の健康診断や人間ドッグで一定年齢以上の方は必ずチェックされる項目だと思います。この数値が平均値であれば、糖尿病のリスクはかなり低いというわけです。数値が少し気になる値だったら、それは「メタボリック症候群」と判断されているはずです。けれどもこの糖尿病予備軍の段階=「メタボリック症候群」の状態で治療を試みることは、より積極的な糖尿病の治療へと繋がります。

糖尿病の本当の怖さ-合併症-

糖尿病が危険な理由は、自覚症状がないまま重篤な合併症を併発する可能性が高いという点にあります。その中でも最も主要な合併症が3つあり、それは3大合併症と呼ばれています。

 <糖尿病神経障害>

最も早く発症する合併症が「神経障害」です。症状の現れ方は様々ですが、多く見られる症状の一つとして手足の先の痛みやしびれなどの末梢神経障害です。さらに症状が進行すると徐々に感覚が鈍くなっていき、足に怪我をしても気付かなくなります。その結果、細菌に感染し、最終的には細胞が壊死するため足を切断しなければならないこともあるのです。

その他、起立性低血圧や悪心・嘔吐、便秘、下痢といった胃腸障害、さらに勃起不全といった自律神経障害の症状も現れます。

<糖尿病網膜症>

血糖値が高い状態が長く続くと網膜の血管が損傷し、視力が弱まります。悪化すると失明する場合もあります。また、白内障になることが多いといわれています。日本の成人の失明原因の第1位が糖尿病網膜症です。

<糖尿病腎症>

糖尿病腎症になると腎臓の毛細血管が損傷し、病態が進行すると尿を作れなくなります。このような状態になると人工透析を行わなければならなくなり、機械を使用して血液中の老廃物を排泄する必要があります。人工透析が必要になると週に2,3回は透析を行わなければならないため、日常生活に大きな影響を及ぼします。透析を行わなければ老廃物による毒素が全身にまわり、尿毒症症状が現れ死に至ります。現在、人工透析が必要になる原因の1位が糖尿病腎症です。

糖尿病の初期症状チェックリスト

糖尿病は発病していても自覚症状が出にくい病気です。特に初期症状はとてもわかりにくいとされています。糖尿病の初期症状と自覚症状について述べてあるので、ご自身でチェックしてみてください。

糖尿病の自覚症状

糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。特に日本の糖尿病患者の95%以上に当てはまる2型糖尿病の場合、ゆっくりと進行していくので、大多数の人は糖尿病を発症しても気がつきません。しかし進行してくると、次のような症状が現れます。

<尿の回数・量が増える>

血糖値が高いと、腎臓が血液中のブドウ糖を水分とともに尿として排泄しようとするので、尿の回数や量が増えます。

<喉が渇く>

尿が増えて、体内の水分が減るので、喉が渇くようになります。

<食べているのに痩せる>

血液中のブドウ糖は、本来細胞に取り込まれて、脳や筋肉のエネルギーになる物質です。しかし、糖尿病の人は、血中のブドウ糖をうまく取り込むことができません。このため、脂肪や筋肉が分解されて、エネルギーとして使われるので、痩せてしまうことがあるのです。

<体がだるい、疲れやすい>

全身がエネルギー不足になっているので、常に体がだるく、疲れやすくなります。

疲れやすさは判断しにくいですが、他の症状については本人に自覚がなくとも周囲の人間が不審に思うほど明らかに現れます。

例えば喉が渇くという症状です。

最初は一日に500mlのペットボトルを数本程度。これだと少し飲みすぎかもしれないといった程度でしょう。誰も気にしませんね。では一日に500mlのペットボトルを10本以上飲み干すといったらどうでしょう。本人が気がつかなくとも、周囲の人間の目には異様に映るのではないでしょうか。これはおかしいと異変を察知したときには、足が壊死していたという例があります。尿の回数・量も増えていたはずですが、たくさん飲んでいるのだからたくさん出るに違いないと、残念ながら、やはり本人は気づきにくいのです。

糖尿病のサイン

こんな症状が出ていたら、それは糖尿病のサインかもしれません。

思い当たる症状はないか、セルフチェックしてみましょう。

<糖尿病の初期症状>
  • ●のどが渇き、水を大量に飲んでしまう
  • ●体がだるく疲れやすくなった
  • ●食欲が異常にある
  • ●食べているのに急にやせ始めた
  • ●手先や足先が冷える
  • ●体がむくむ
  • ●食事中に汗をかく
  • ●食事後に酷く眠い
  • ●性欲がほとんどない
  • ●傷が治りにくい
  • ●立ちくらみするようになった
  • ●便秘や下痢がずっと続くようになった
<糖尿病性神経障害の症状>
  • ●足が妙に冷える
  • ●足が妙に火照る
  • ●足が痺れている(指先がピリピリした感じがする)
  • ●怪我をしていないのに足先が痛い
  • ●足の皮膚が乾燥したりひび割れている
  • ●最近、水虫になってしまったり、急にひどくなった
  • ●足の皮がむけやすくなった
  • ●突然、魚の目ができた
  • ●足にタコができやすくなった
  • ●最近、足に怪我をしやすくなった
  • ●足の爪が巻き爪になりやすくなった
  • ●足がよく攣るようになった
  • ●こむら返りがおきやすくなった
  • ●足が痙攣する
  • ●足の裏の感覚がよくわからない

「血糖値」と「活性酸素」

血糖値が高くなり「高血糖」になった状態が「糖尿病」だとお話ししました。

では「高血糖」とはどういう状態なのか、もう少し詳しく説明したいと思います。

高血糖の状態になる仕組みは、すい臓の機能にさかのぼります。糖質を代謝するのには、すい臓で分泌されるホルモン「インスリン」が必要です。このインスリンがうまく分泌されないと、血中の糖質の割合が高くなってしまうのです。

「高血糖」の状態

「ミトコンドリア(細胞)」と「活性酸素」

すい臓の機能に影響を与えてしまう要因として、「活性酸素」の存在が挙げられます。「活性酸素」の中でも特に毒性の高いものを「悪玉活性酸素」といいます。

実はインスリンを生むすい臓のβ細胞は「活性酸素」にとても弱い組織です。体内で発生した「悪玉活性酸素」がすい臓のβ細胞を傷つけてしまうと、血糖値を下げる「インスリン」の分泌量が低下し、不足します。さらに本来、ブドウ糖を取り入れエネルギーに変える細胞内のミトコンドリアが「悪玉活性酸素」により傷ついたり壊れたりすると、血中のブドウ糖を取り込む働きも低下してしまいます。これが「インスリン抵抗性」でしたね。毒性の高い「悪玉活性酸素」がβ細胞やミトコンドリアを傷つけることで糖尿病が始まるといってもよいのです。

「活性酸素」が糖尿病の原因!!

「活性酸素」とは?

糖尿病は「高血糖」の状態、そしてこの高血糖になる原因として挙げられるのが「活性酸素」です。

ではこの「活性酸素」とは一体何なのでしょうか。

私たちは、呼吸により1日に500ℓ以上の酸素を体内に取り入れています。その酸素を使って、食事で摂った栄養素を燃やしエネルギーを作り出していますが、この過程で取り入れた「酸素の約2%分」が「強い酸化作用を持つ活性酸素」に変わるといわれています。

また食事から摂ったエネルギーも「活性酸素」へと変わります。

もともと「活性酸素」は身体によいものだと考えられてきました。

その強い攻撃力で体内に侵入したウイルスや細菌を退治するという大切な役割があるのです。白血球の一部が「活性酸素」の力を利用して体内に侵入してきた細菌を破壊してくれる、いわゆる「免疫力」を作り出してくれるのです。

けれどもその後「活性酸素」の研究が進み、「活性酸素」には種類があることや、「活性酸素」が増えすぎてしまうと細菌だけではなく自分の身体の細胞も傷つけてしまったり、身体を酸化させてしまうという害があることがわかりました。

「酸素」はあらゆるものを「酸化させる力」を持ちます。

ナイフで切ったりんごの断面が徐々に茶色くなっていく、これが酸化の力です。

この「酸化」は人間の身体にももちろん作用します。その最もわかりやすい例が「酸化現象」=「老化現象」です。これは体内の「活性酸素」が細胞をサビつかせ、機能を衰えさせるために起きる現象です。

これが時には「糖尿病」という病気を引き起こし、命さえ奪うのです。

切ったリンゴを変色させる「酸化現象」の仕組み

「活性酸素」の種類

「活性酸素」には種類があると申し上げました。

体内で発生する「活性酸素」には「善玉活性酸素」と「悪玉活性酸素」があり、それが以下の4種類に分かれます。この中で遺伝子や細胞を傷つける「ヒドロキシルラジカル」を特に「悪玉活性酸素」と一般的に呼び、区別しています。傷ついた身体を修復するために生まれる「善玉活性酸素」から、身体を傷つける「悪玉活性酸素」が生まれるというジレンマがあることがわかります。

<スーパーオキシド:善玉活性酸素>

この活性酸素はミトコンドリア細胞が酸素からエネルギーを作るときに生成されるので、私たちが呼吸をしている限りこの活性酸素の発生は避けて通れません。またウイルスや異物などが体内に侵入した際に、白血球により一番初めに大量に放出され異物を撃退する作用があります。そんな善玉作用のあるスーパーオキシドですが、異物を撃退するということからもわかる通り「毒性」が高く、放っておくと体内を傷つけてしまいます。

<過酸化水素:善玉活性酸素>

スーパーオキシドが体内の抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって分解される過程で酸素とともに生成されるのが「過酸化水素」です。体内の細菌を殺してくれる善玉作用が期待できます。傷口の消毒用の薬品に「オキシフル」がありますが、これは「過酸化水素水」を3%の溶液にしたもので「活性酸素の毒性」をうまく利用したものです。大半が体内の抗酸化酵素で無害化され水になりますが、極めて不安定な性格と「非常に強い毒性」を持ちます。

<ヒドロキシルラジカル:悪玉活性酸素>

スーパーオキシドから生じた過酸化水素が体内の鉄や銅などの金属イオンと反応して生成する、最も酸化力が強く毒性が高い活性酸素が「ヒドロキシルラジカル」です。スーパーオキシドの数十倍の攻撃性を持つ凶悪な活性酸素で、善玉作用はなく、遺伝子や細胞膜を傷つけます。反応性がとても高く、発生しては消えるということを100万分1秒という単位で繰り返し、糖質やタンパク質、脂質などと反応し「過酸化脂質」を蓄積させていきます。じわじわと身体を蝕んでいく存在で、困ったことにヒドロキシルラジカルを分解する酵素は体内には存在しないのです。

<一重項酸素:悪玉活性酸素>

悪質な性格をした反応性が強い活性酸素です。放射線や紫外線などの光の刺激により、皮膚や目に大量発生し、皮膚を形成するタンパク質や脂肪を酸化、変質させてしまいます。皮膚がん等を引き起こす非常に怖い活性酸素であり、肌の大敵です。

「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」の発生過程

身体の中で「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」の発生する過程についてお話します。 「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」が発生するまでには4つの過程を踏みます。 身体がいかに「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」を作らないようにしているかがおわかりになるかと思います。それほど毒性の高い物質なのです。

酸素・水素・電子の例
  • 酸素[O2]
  • 私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り込みます。

    一般的な酸素分子は、酸素原子が2個結びついて1個の酸素分子として存在しています。

  • 矢印
  • スーパーオキシド[O2-]
  • 傷ついた細胞を修復したとき、その副産物として生まれるのがスーパーオキシドです。細胞の修復のために、酸素が電子1個を余分に取り込むのですね。するとその結合した分子は不安定になり、強烈な酸化力を示します。これが活性酸素「スーパーオキシド」の発生過程です。これを体内に存在する「SOD」で分解します。SODとは「Super Oxide Dismutase」の略で、その名が示すように「スーパーオキシド」を分解する酵素のことです。SODはスーパーオキシドが「過酸化水素」に変化する還元反応を促進する触媒として働きます。他の物質から奪った電子が酸素分子に入り込んで、一個の不対電子を持っているのが特徴です。

    ※還元反応とは「水素が加わった反応」のことです。

  • 矢印
  • 過酸化水素[H2O2]
  • スーパーオキシドをSODが分解する(水素の結合)過程で発生するのが「過酸化水素」です。それを体内に存在する「カタラーゼ」で分解し、そこで分解しきれなかった分を更に「グルタチオンペルオキシダーゼ」で分解します。スーパーオキシドを3段階で分解するのですね。こうして抗酸化酵素などで分解されることで、大半は酸素を放出して無害な「水」になります。但し鉄[Fe]が反応を促進した場合、過酸化水素は2つに分解された状態になり、「ヒドロキシルラジカル」へと変わります。

  • 矢印
  • ヒドロキシルラジカル[OH]
  • 過酸化水素への紫外線照射や鉄[Fe]などの金属イオンと反応したときに生成される、スーパーオキシドの数十倍という毒性を持つ凶悪な活性酸素が「ヒドロキシルラジカル」で、これを特に「悪玉活性酸素」といいます。酸素電子が1個足りないので他のものとくっつきやすい性質があり、糖質やタンパク質、脂質などあらゆる物質と反応し「過酸化脂質」を体内に蓄積させます。その反応性の高さ故、通常の環境下では100万分1秒しか存在することが出来ず生成後速やかに消滅します。但しヒドロキシルラジカルの元であるスーパーオキシドが常に大量に発生しているため、ヒドロキシルラジカルも常時発生します。

水素が糖尿病に効くメカニズム

毒性の強い「悪玉活性酸素」を無毒化出来るのが「水素」です。

細胞内に浸透できるほど小さい「水素」は「悪玉活性酸素」を無害化する働きがあります。「活性酸素」によって傷つき弱ってしまうβ細胞・ミトコンドリア細胞を「水素」が保護してくれるのです。「水素」がインスリン分泌を効果的に促進することや、代謝をあげ血糖を下げる効果的な働きをすることは、すでに数々の論文で証明されています。

「悪玉活性酸素」を「無毒化」する仕組み

糖尿病治療の今

従来の糖尿病の治療は、血糖値のコントロールが重要視されており、薬によってすい臓のβ細胞を刺激して「インスリン」の分泌を促すことや、「インスリン」を注射等によって補う治療が主流でした。

しかし近年糖尿病は、「すい臓のβ細胞の機能不全」であり、その機能不全が徐々に進行してゆく、「進行性β細胞不全」として捉えられるようになってきました。

そのため、できるだけすい臓のβ細胞への負担を減らし、すい臓のβ細胞を保護する治療の重要性と有効性が認識されるようになってきています。

そこで注目されるようになったのが「水素」です。

「水素」の糖尿病への効果とは?

すい臓のβ細胞は「活性酸素」に非常に弱いため、すい臓のβ細胞の負担を減らす方法の一つとして、「水素による活性酸素の除去」が注目されるようになってきています。

すい臓のβ細胞に限らず、私たちの細胞は、細胞膜(細胞と外界との境界面)が最も外側にあり、その内部にエネルギーを生むミトコンドリアやミトコンドリア遺伝子等が存在します。

細胞膜は主に脂質でできていますが、この細胞膜の脂質が酸化すると、過酸化脂質となり、細胞機能に障害が発生します。細胞膜に過酸化脂質が生じると、それが細胞内のミトコンドリアなどにも障害をもたらすと言われています。

「水素」は細胞に対して上記のような悪影響を及ぼす「悪玉活性酸素」に対して反応し、「活性酸素を無害な水に変える作用」を持っているため、すい臓のβ細胞の機能不全を予防・改善する手段のひとつとして期待されるようになりました。

但し水素は糖尿病を根源から治すというような役割ではなく、糖尿病治療の補助としての効果が期待されているというのが現状です。

あくまで糖尿病の予防・改善の基本は食事療法です。

「水素」によって「活性酸素」を除去しても、血糖値を上げる食事やアルコールなどによってすい臓に負担をかけていては意味がありません。

しかし、「活性酸素」がすい臓のβ細胞の機能不全の一因であることは間違いないので、補助手段として試してみるのは有効だと考えられています。血糖値の上昇を食い止められる効果は、医療関係者も認めるところとされています。「水素」は高血糖の状態から引き起こされる糖尿病治療の手助けになれる可能性が十分にあるのです。

糖尿病治療の補助の一環として、ぜひ「水素」を併せて試してみたいという場合は、水素治療と糖尿病治療の両方に詳しいクリニックに相談し、医師の指示に従って実践するようにしてください