アルツハイマー病
ものごとを記憶する、考える、判断する、人とコミュニケーションをとる。
日常生活で私達が当たり前のようにしていることですね。
この「当たり前」が、何らかの脳の異常により脳の神経細胞が急激になくなることで出来なくなる、それが「アルツハイマー病」です。
現在の医療ではアルツハイマー病を治す術はありません。
代わりにその予防に力が入れられています。
そしてその予防の一端に今、「水素」が注目を集めています。
アルツハイマー病への理解を深めるとともに、「水素」の有用性への期待についてお話ししたいと思います。
認知症とはどんな病気
「アルツハイマー病」とは「認知症」の中のひとつで、「アルツハイマー型認知症」の略称です。「アルツハイマー病」を知る前に、まずは「認知症」がどういうものなのかについてお話ししたいと思います。
「認知症」とは、何らかの原因で脳の細胞が壊れたり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活する上で支障が出ている状態のことを指します。
現在、日本は世界一の長寿国であると同時に、高齢化社会へと向かっています。高齢化に伴い認知症に羅漢する高齢者の増加していて、その対策が急務となっています。
もの忘れと認知症は別のもの
誰でも年齢とともに、もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったりします。こうした「もの忘れ」は脳の老化によるものです。
しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。
認知症は、何かの原因により脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。

認知症は身近な病気
全国10市町における65歳以上の住民計約9,000人を対象に行われた厚生労働省研究班の大規模研究によれば、2012年時点の65歳以上の認知症の有病率は15%であり、全国の認知症高齢者数は約462万人と推計されました。
また、認知症を発症する前段階とみられる軽度認知障害(MCI)の高齢者も、約400万人と推計されました。
2010を基準とすると、25年後の2035年には約445万人と1.8倍に増えることが予想されています。


認知症の種類と症状
認知症の種類
認知症のうち、およそ半数は「アルツハイマー型認知症」です。
次に多いのが「レビー小体型認知症」、そして「血管性認知症」と続きます。
これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。

アルツハイマー型認知症とは
もの忘れから気付くことが多く、今まで日常生活で当たり前に出来てきたことが少しずつ出来なくなってきます。新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなるなどが特徴的です。また、物盗られ妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。進行は緩やかで発症から症状が出るまでに、10年以上かかるといわれています。
原因
β蛋白やタウ蛋白という異常な蛋白質が脳に溜まって脳の神経細胞が壊れてしまい、脳が萎縮(縮み)ます。記憶を担っている「海馬」という部分から萎縮が始まり、だんだんと脳全体に広がっていきます。

主な症状
- <認知機能障害>
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発症してから新しく経験したことを記憶できず、すぐに忘れます。
食事をしたこと自体を忘れてしまうのはそのためです。
また、日付、昼か夜か、今いる場所、家族の顔などがわからなくなることもあります。更に判断する力や理解する力が落ちて、食事を作ったり、おつりの計算などが出来なくなります。
- <BPSD(行動・心理症状)>
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経過中に、無為・無関心、妄想、徘徊、抑うつ、興奮や暴力などの症状が現れることがあります。
- <身体面の症状>
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進行するまで目立ちません。
レビー小体型認知症とは
実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり奇声をあげたりする異常言動などの症状が目立ちます。また、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン症状がみられることもあります。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することも特徴的です。
原因
脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常な蛋白質の塊が見られます。このレビー小体が大脳に広く現れると、その結果、レビー小体型認知症になります。

主な症状
- <認知機能障害>
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注意力がなくなる、物が歪んで見えるなどの症状が現れます。レビー小体型認知症では、最初は記憶障害が目立たない場合があります。
- <認知機能の変動>
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時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が入れ替わり起こります。
- <BPSD(行動・心理症状)>
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「幻視」:実際には見えないものが本人にはしっかりと見える症状です。
見えるものの多くは小動物や人で「ねずみが壁を這い回っている」「知らない人が部屋に座っている」などと、とても具体的です。また人形を女の子と見間違ったり、丸めてある洋服を動物と見間違うなどの「錯視」もよくみられます。
- <睡眠時の異常言動>
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眠っている間に大声で叫んだり、怒鳴ったり、奇声をあげたり、暴れたりすることがあります。レム睡眠中に起こしやすいことから、「レム睡眠行動障害」といいます。
※レム睡眠とは、身体が眠っていても脳は活動しているという状態のこと。
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。
人は夢を見ますが、それはこのレム睡眠時に起きる特有の現象です。
- <抑うつ症状>
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気分が沈み、悲しくなり、意欲が低下する症状です。抑うつ症状はレビー小体型認知症の人の約5割にみられるともいわれます。
- <身体面の症状>
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「パーキンソン症状」:動作が遅くなったり、無表情、筋肉のこわばり、前かがみで小刻みで歩く、倒れやすいなどの症状が現れます。
「自律神経症状」:血圧や体温、内臓の働きを調整する自律神経がうまく働かず、身体的にさまざまな不調をきたします。立ちくらみ、便秘、異常な発汗・寝汗、頻尿、だるさなどがあります。場合によっては、めまいを起こして倒れたり、気を失う危険もあります。
わかりにくい「レビー小体型認知症」
レビー小体型認知症は、患者さんによって症状の現れ方が異なります。また、時間帯や日によって症状が変動するので、正しく診断しにくい病気です。
そのため、初めにパーキンソン症状が現れて「パーキンソン病」と診断された後に、記憶障害が出てきて「レビー小体型認知症」とわかったり、逆にもの忘れで「アルツハイマー型認知症」だと思われた後にパーキンソン症状が現れて「レビー小体型認知症」と診断されるケースもあります。その他にも高齢者の場合には、「うつ病」と診断された後、徐々に「レビー小体型認知症」の症状が現れることがあります。
血管性認知症とは
脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
脳の場所や障害の程度によって、症状が異なります。
そのため、出来ることと出来ないことが比較的はっきりと分かれていることが多いです。手足の麻痺などの神経症状が起きることもあります。
原因
脳の血管が詰まる「脳梗塞」や血管が破れる「脳出血」など、脳血管に障害が起きると、その周りの神経細胞がダメージを受けます。脳の画像を見ると障害の跡がわかります。
主な症状
- <認知機能障害>
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障害される能力と残っている能力があります(まだら認知症)。判断力や記憶は比較的保たれています。「せん妄」が起き、突然認知機能が悪化することがあります。
- <BPSD(行動・心理症状)>
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意欲や自発性がなくなったり落ち込んだりすることがあります。感情の起伏が激しくなり、些細なきっかけで泣いたり興奮することがあります。
- <身体面の症状>
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脳血管障害によって、手足に麻痺や感覚の障害など神経症状が現れることがあります。ダメージを受けた場所によっては言語障害などが出る場合もあります。
アルツハイマー病とはどんな病気
さて、認知症について簡単にお話ししたところで、次に「アルツハイマー型認知症」こと「アルツハイマー病」について、もう少し詳しく掘り下げていきたいと思います。
アルツハイマー病は、不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気です。
アツルハイマー病は認知症の中で一番多く、男性よりも女性に多く見られます。また脳血管性の認知症などの患者数が横ばいなのに対して、どんどん増加の傾向にあるといわれています。若年性アルツハイマー病を除けば、ほとんどの場合、アルツハイマー病は60歳以降に初めて症状が現れます。
アルツハイマー病はゆっくりと進行する病気で、症状が認められない早期あるいは発症前の段階、軽度認知障害(MCI)という中期の段階、そしてアルツハイマー病と3つの病期で進行します。アルツハイマー病と診断されてから死亡するまでの期間はさまざまで、診断時に患者が80歳を超えている場合は僅か3.4年、80歳以下だと10年以上だとされています。
アルツハイマーの由来
この疾患は、アロイス・アルツハイマー博士の名前にちなんで命名されています。1906年、アルツハイマー博士は、よく見られるものとは異なる精神疾患が原因で死亡した女性の脳組織の変化に気づきました。この患者の症状には、記憶障害、言語障害、予測不可能な行動がありました。患者の死後、博士は患者の脳を調べ、多数の異常な凝集体(現在では、アミロイド斑あるいは老人斑と呼ばれています)と、線維のもつれ(現在では、神経原線維変化と呼ばれています)を発見しました。
アルツハイマー病の人の脳では何が起こっているのか
アルツハイマー病がどのように始まるのかは、まだわかっていませんが、脳の障害は、症状が出現する10年以上も前に始まっているとみられます。症状のない、発症前の段階においても、脳の中では害のある変化が起こっています。蛋白の異常な沈着により、脳のいたるところにアミロイド斑とタウ蛋白からなる神経原線維変化が生じ、もともとは健康であったニューロンが、効率よく機能しなくなってきます。時間の経過とともに、ニューロンは、相互に機能して連絡し合う能力を失い、最終的には死滅します。
やがて病変は、脳内で記憶を形成するのに必要不可欠な、海馬と呼ばれる構造体に広がります。ニューロンがさらに死滅するにつれて、影響を受けた脳領域は萎縮し始めます。アルツハイマー病の後期までに障害は広範囲に及び、脳組織は著しく萎縮します。
原因は「酸化ストレス」
私達は、酸素を使ってエネルギーを作り出し、体温の維持、運動や思考などすべてのエネルギーに用いています。この酸素を使ってエネルギーを作り出しているのが細胞内にある「ミトコンドリア細胞」という小器官です。ミトコンドリアの作り出すエネルギーは私達を生かしますが、同時にその副産物として、「強い酸化作用のある活性酸素」を作り出します。
本来、「活性酸素」は身体によいものだと考えられてきました。
その強い攻撃力で体内に侵入したウイルスや細菌を退治するという、大切な役割があるのです。白血球の一部が「活性酸素」の力を利用して、体内に侵入してきた細菌を破壊してくれる、いわゆる「免疫力」を作り出してくれるのです。
けれどもその後「活性酸素」の研究が進み、活性酸素には種類があり、毒性の高いものがあること(ヒドロキシルラジカル)や、「活性酸素」が増えすぎてしまうと、自分の身体の細胞を傷つけてしまったり、身体を酸化させてしまうという害があることがわかりました。
「酸素は」あらゆるものを「サビつかせる力」です。
ナイフで切ったりんごの断面が徐々に茶色くなっていく、これが酸化の力です。
この「酸化」はもちろん、人間の身体にも作用します。その最もわかりやすい例が「酸化現象」=「老化現象」です。これは体内の「活性酸素」が細胞をサビつかせ、機能を衰えさせることで起きる現象です。
「悪玉活性酸素」はミトコンドリア細胞、そしてその中のミトコンドリア遺伝子を破壊してしまいます。けれども人間の身体の中には「活性酸素」の毒性を抑える機構も存在していて、それで酸化力と還元力のバランスをとっています。
けれども体内で作り出される「活性酸素」の中でも、特に攻撃性と毒性の高い「ヒドロキシルラジカルという悪玉活性酸素」については、それを分解する機構は人間の身体にはありません。この「悪玉活性酸素」が体内に多く留まっている状態を「酸化ストレス」と呼びます。
年齢を重ねるごとにこの「酸化ストレス」は増加していき、老化や神経細胞の死を加速させていきます。アルツハイマー病の原因は複雑ですが、この「酸化ストレス」もアルツハイマー病の原因のひとつです。実際、アルツハイマー病が発症する以前から、その患者には「酸化ストレス」が増えていることが明らかになっています。
またアルツハイマー型痴呆症の研究でも、この病期の羅漢者は「過酸化脂質」が多いことがわかっています。「過酸化脂質」とは「脂質(糖分)」に「活性酸素」が結合することで体内に生じる物質です。
マウス実験の結果
日本医科大学太田教授が科学誌「ニューロサイコファーマコロジー電子版」に発表した論文に、狭い空間にマウスを閉じ込め、餌を与えないなどのストレスを加えた上で、「水素水」と通常の水を飲ませた場合では記憶力がどのくらい違うのかを、6週間に渡って3つの方法で10匹ずつ比較したというものがあります。
その結果、いずれの場合も水素水を飲ませたマウスの方が記憶力が高く、ストレスのないマウスとほぼ同程度、記憶を司る海馬の神経細胞の繁殖能力も同様の傾向だったとのこと。
また酸化ストレスを亢進させたマウスを作製し、酸化ストレスの亢進によって、高齢になると認知機能が低下したことを突き止め、そのマウスでは記憶力が低下するだけではなく、その病態がアルツハイマー病によく似ていることを明らかにしました。この結果は、酸化ストレスが強いだけでアルツハイマー病が起きる可能性を強く示唆しています。
太田教授は以上の実験の結果から、「水素水」によって記憶力(認知機能)の低下は抑制出来ると結論づけています。
既に死滅した脳細胞の組織が蘇るかどうかはまだ研究段階ですが、少なくとも脳内環境の状態をよくするという意味では「水素」は非常に有効であり、認知機能の低下を予防することが可能だということになります。少なくともマウス実験においては、アルツハイマー病の治療に成功したといってもよいのです。
但し、前述しました通り、「活性酸素」には本来免疫力を作り出すという大切な役割があるので、この酸化ストレスを完全になくしてしまうことは、逆に身体に害を与えてしまいます。「水素」は「活性酸素」の中の極一部である特に毒性の高い「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」だけを選択して除去する機能があるため、その有用性が高いのです。
「活性酸素」と「酸化ストレス」
体内に活性酸素が増えるのが酸化ストレスが強い状態です。
ではそもそも、この「活性酸素」とは何なのでしょう。
「活性酸素」の仕組みと体内でどんな作用を引き起こすのか、簡単に説明したいと思います。
「活性酸素」の種類
「活性酸素」には種類があると申し上げました。
体内で発生する「活性酸素」には「善玉活性酸素」と「悪玉活性酸素」があり、それが以下の4種類に分かれます。この中で遺伝子や細胞を傷つける「ヒドロキシルラジカル」を特に「悪玉活性酸素」と一般的に呼び、区別しています。傷ついた身体を修復するために生まれる「善玉活性酸素」から、身体を傷つける「悪玉活性酸素」が生まれるというジレンマがあることがわかります。
- <スーパーオキシド:善玉活性酸素>
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この活性酸素はミトコンドリア細胞が酸素からエネルギーを作るときに生成されるので、私たちが呼吸をしている限りこの活性酸素の発生は避けて通れません。またウイルスや異物などが体内に侵入した際に、白血球により一番初めに大量に放出され異物を撃退する作用があります。そんな善玉作用のあるスーパーオキシドですが、異物を撃退するということからもわかる通り「毒性」が高く、放っておくと体内を傷つけてしまいます。
- <過酸化水素:善玉活性酸素>
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スーパーオキシドが体内の抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって分解される過程で酸素とともに生成されるのが「過酸化水素」です。体内の細菌を殺してくれる善玉作用が期待できます。傷口の消毒用の薬品に「オキシフル」がありますが、これは「過酸化水素水」を3%の溶液にしたもので「活性酸素の毒性」をうまく利用したものです。大半が体内の抗酸化酵素で無害化され水になりますが、極めて不安定な性格と「非常に強い毒性」を持ちます。
- <ヒドロキシルラジカル:悪玉活性酸素>
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スーパーオキシドから生じた過酸化水素が体内の鉄や銅などの金属イオンと反応して生成する、最も酸化力が強く毒性が高い活性酸素が「ヒドロキシルラジカル」です。スーパーオキシドの数十倍の攻撃性を持つ凶悪な活性酸素で、善玉作用はなく、遺伝子や細胞膜を傷つけます。反応性がとても高く、発生しては消えるということを100万分1秒という単位で繰り返し、糖質やタンパク質、脂質などと反応し「過酸化脂質」を蓄積させていきます。じわじわと身体を蝕んでいく存在で、困ったことにヒドロキシルラジカルを分解する酵素は体内には存在しないのです。
- <一重項酸素:悪玉活性酸素>
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悪質な性格をした反応性が強い活性酸素です。放射線や紫外線などの光の刺激により、皮膚や目に大量発生し、皮膚を形成するタンパク質や脂肪を酸化、変質させてしまいます。皮膚がん等を引き起こす非常に怖い活性酸素であり、肌の大敵です。
「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」の発生過程
身体の中で「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」の発生する過程についてお話します。 「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」が発生するまでには4つの過程を踏みます。 身体がいかに「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」を作らないようにしているかがおわかりになるかと思います。それほど毒性の高い物質なのです。
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私たちは呼吸をすることで酸素を体内に取り込みます。
一般的な酸素分子は、酸素原子が2個結びついて1個の酸素分子として存在しています。
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傷ついた細胞を修復したとき、その副産物として生まれるのがスーパーオキシドです。細胞の修復のために、酸素が電子1個を余分に取り込むのですね。するとその結合した分子は不安定になり、強烈な酸化力を示します。これが活性酸素「スーパーオキシド」の発生過程です。これを体内に存在する「SOD」で分解します。SODとは「Super Oxide Dismutase」の略で、その名が示すように「スーパーオキシド」を分解する酵素のことです。SODはスーパーオキシドが「過酸化水素」に変化する還元反応を促進する触媒として働きます。他の物質から奪った電子が酸素分子に入り込んで、一個の不対電子を持っているのが特徴です。
※還元反応とは「水素が加わった反応」のことです。
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スーパーオキシドをSODが分解する(水素の結合)過程で発生するのが「過酸化水素」です。それを体内に存在する「カタラーゼ」で分解し、そこで分解しきれなかった分を更に「グルタチオンペルオキシダーゼ」で分解します。スーパーオキシドを3段階で分解するのですね。こうして抗酸化酵素などで分解されることで、大半は酸素を放出して無害な「水」になります。但し鉄[Fe]が反応を促進した場合、過酸化水素は2つに分解された状態になり、「ヒドロキシルラジカル」へと変わります。
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過酸化水素への紫外線照射や鉄[Fe]などの金属イオンと反応したときに生成される、スーパーオキシドの数十倍という毒性を持つ凶悪な活性酸素が「ヒドロキシルラジカル」で、これを特に「悪玉活性酸素」といいます。酸素電子が1個足りないので他のものとくっつきやすい性質があり、糖質やタンパク質、脂質などあらゆる物質と反応し「過酸化脂質」を体内に蓄積させます。その反応性の高さ故、通常の環境下では100万分1秒しか存在することが出来ず生成後速やかに消滅します。但しヒドロキシルラジカルの元であるスーパーオキシドが常に大量に発生しているため、ヒドロキシルラジカルも常時発生します。
ミトコンドリア細胞と「活性酸素」
活性酸素を発生させる活動をする細胞のことをミトコンドリアといいます。
名前だけはご存知の方も多いのではないでしょうか。
最新の研究では私たちの細胞内部のメカニズム、細胞内にあるミトコンドリアの機能についてもどんどん明らかになってきています。
人間にとって、良い作用と悪い作用のある「活性酸素」を作り出すミトコンドリア、そしてその内部にあるミトコンドリア遺伝子とは一体どんなものなのでしょうか。
ミトコンドリアとは
私たちの身体におよそ60兆個の細胞があり生命活動を行っていますが、ミトコンドリアはこれらの細胞全てに存在する細胞小器官です。
そして各細胞が活動するために必要なエネルギーを生産する働きをしています。
そのためミトコンドリアは人体の発電所といわれています。
ミトコンドリアは「呼吸から取り入れた酸素」と「食事から取り入れた糖分」から生命活動に必要なエネルギーを作り出しますが、同時に「活性酸素」という人体を酸化させる有害な物質も作り出します。更にその「活性酸素」から「悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)」が生まれます。
酸化作用の原因であるところの「悪玉活性酸素」を作り出すと聞くと、ミトコンドリアは悪者のように思えますが、人間の身体をウイルスなどの外敵から守るのもまた、ミトコンドリアなのです。
ではミトコンドリアはどんなメカニズムで動いているのでしょうか。
古い細胞が死に、新しい細胞に生まれ変わる。
この過程で中心的な存在を果たしているのが、このミトコンドリアです。
ミトコンドリアは老化した細胞・ウイルスに犯された細胞、すなわち「生きるために不必要な細胞」に自滅プログラム(自然な死)を実行して、細胞死(アポトーシス)を起こします。
つまり、生と死の両方を司り、生物が生きるためのサイクルを作っているのです。
私たちの命は細胞のアポトーシスによって日々、守られているのです。
ミトコンドリア遺伝子とは
ミトコンドリアは「酸素を用いて」必要なエネルギーを生産します(有酸素性代謝)。
通常の細胞の核にある遺伝子とは別に固有の遺伝子(ミトコンドリア遺伝子)を持ち、ミトコンドリアが有酸素性代謝を行う際には、取り込んだ酸素のうち3%程度が「活性酸素」になることがわかっています。こうして作られた活性酸素がミトコンドリア遺伝子に異変を引き起こし、その結果、有酸素性代謝における活性酸素の生産量が更に増えるという悪循環を経て、ミトコンドリアの機能不全とが起こるとされています。
ミトコンドリアの機能不全は、細胞のエネルギー生産に重要な影響を及ぼしますので、細胞本体の機能不全や細胞死に繋がると考えられています。
ミトコンドリアの異常が生み出す病気
●生活習慣病・・・肥満、高脂血症、糖尿病、メタボリックシンドロームなど
●老年病・・・アルツハイマー病、脳変性疾患、老化など
●遺伝病・・・ミトコンドリア病など
●がん
●慢性腎臓病(CKD)
●不妊・・・生殖細胞をつくるにはミトコンドリア遺伝子が必要
ミトコンドリア及びミトコンドリア遺伝子が正常であることが、私たちの身体にとっていかに大事なのかがおわかり頂けたでしょうか。
ミトコンドリアは「活性酸素」を発生させる細胞でもありますが、同時にミトコンドリアの行うアポトーシスというシステムが私たちの身体を生かし、病気から守ってくれているのです。
アルツハイマー病の予防には
早期発見・早期治療
現時点では、アルツハイマー病の完治は出来ないとされています。けれどもさまざまな薬が開発されていますので、早期発見・早期治療を始めた方は症状の進行が緩やかになります。最近何かおかしいと気がついたら、まずは受診しましょう。取り越し苦労ならばよかったと胸を撫で下ろせばよいのですから。
認知症専門病院に行けるのが一番良いのですが、近くに病院がなかったり、本人に自覚がなく周囲の人間が連れて行きたいけれど難色を示されたということでしたら、神経内科やもの忘れ外来などがありますので、CTやMRIなど脳の検査の出来る病院に行ってみるとよいでしょう。
予防習慣をつける
アルツハイマー病になる原因ははっきりと解明出来ていませんが、生活習慣を見直すことで予防に繋がるとされています。青魚を食べるとアルツハイマー病発症リスクが下がるという事例もあります。
また高血糖状態が長く続く(高血圧)と、アルツハイマー病に繋がりやすいとされています。血糖値が高いことを指摘されている方は積極的に受診し、高血糖状態が続かないようにしましょう。特に高血圧・糖尿病・メタボリック症候群などといった生活習慣病を指摘されている方は、アルツハイマー病予防のためにも生活習慣の改善に気を配りましょう。
脳の状態を良好に保つためには、食習慣や運動習慣に加え、対人接触を行うことや知的行動習慣を意識して日々を過ごすことが重要だとされています。日常的にリハビリを行うことで脳に刺激を与えるのですね。
「水素」を取り入れる生活
人間は日々、年を重ねていく生き物です。すべての人が平等に年を取っていくのです。
人間の老化現象は酸化現象に置き換えられると前述しました。酸化現象は「悪玉活性酸素」が体内に留まることで起こり、その量が多ければ多いほど、早く身体は酸化し、老化は進みます。そしてそれが脳の神経細胞の死滅に繋がることでアルツハイマー病が発病するのです。
アルツハイマー病は現在ではまだ、治療法が確立していない病気です。
けれどもある程度の原因と予防策については提示されています。
まずは、生活習慣を見直すことが第一です。次に、脳に刺激を与える生活を送ること。
その他に出来ることとして、新たに、日々の生活に「水素」を取り入れ「悪玉活性酸素」を減らすことが挙げられました。
「悪玉活性酸素」による「酸化ストレス」は多様なアルツハイマー病の原因のひとつでしかなく、太田教授によりマウスで実証されているのみです。けれども水素に関する論文は動物実験を含めると、現在350以上も上梓されています。そして救急医療の現場では、何らかの病気で脳に障害の残った方に対して水素を用いることで状態が改善された例もあり、水素は実際に医療の現場に取り入れられつつあります。それほど今、新たな可能性として、医療業界でも注目されているのです。
また「水素」は薬とは違い、副作用がないとされています。今後も見つかる可能性はとても低いでしょう。
「水素」はアルツハイマー病の予防だけではなく、その原因となりうる、高血圧や糖尿病のリスクを下げる可能性を十分に秘めた、新たな健康を保つ方法として研究が進められています。
これまでアルツハイマー病の予防法といえば、生活習慣の見直しとリハビリのみでした。
どちらもとても根気と忍耐がいりますね。勿論アルツハイマー病の予防にはどちらも欠かすことは出来ません。
けれどもそこにとても手軽に出来る、新たな予防方法が提案されたのです。
より良い明日のために、今日から「水素」を始めてみませんか?